側弯矯正手術の合併症とその危険性とは?

側弯症の矯正手術は背骨を扱う手術なだけに
背骨の中を通る神経に傷がついてしまうなどの
合併症は怖いものです。

さて実際のところ、どのぐらいの確立で合併症がおき
どのぐらいの危険性があるのか
あなたはご存知でしょうか?

手術の技術は年々進歩して新しい器具や方法が
取り入れられてきましたが、
未だに合併症がなくなったわけではありません。

アメリカの調査によると2001年から2003年の間に行われた
前方式や後方式を含むすべての特発性側弯症矯正手術
6334件のうち合併症の発生率は363件つまり5.7%だったそうです。

合併症の中で一番心配されているのが
神経損傷による下半身不随などの合併症ですが
実はこのような合併症はほとんど起きていません。

上記の特発性側弯症(18歳以下)の矯正手術では
術の方式によって合併症の割合も多少違うのですが
一般的に多く行われる後方式の側弯矯正手術では
4369件の手術のうち最も多く発生した合併症は
感染症で1.4%の確率で起こっています。

発生頻度の順番にすべて書き出してみると(4369件中)
1.感染症                   59件   1.35%
2.その他麻酔などによる合併症    59件   1.35%
3.肺炎や呼吸不全            42件   0.96%
4.インプラントの破損、移動や変形  28件   0.64%
5.神経麻痺                 14件   0.32%
6.脊髄液漏出や硬膜裂傷        8件    0.18%
7.輸血や出血による合併症       6件    0.14%
8.深部静脈血栓症             2件    0.05%
9.肺塞栓症                 1件     0.02%
10.大量出血による死亡         1件     0.02%
11.空気塞栓による死亡         1件     0.02%

これを見るとわかるようになんらかの神経麻痺の合併症は
14件発生(約0.3%の発生率)しています。
そのうち脊髄損傷による一時的半身不随などの合併症は
9件報告され、さらに完治できなかったのはその中でも2件だけだそうです。

つまり下半身不随や歩行困難などがおこる確率は全体でも0.2%で
しかもほとんどが一時的なもので完全に麻痺が完治しなかったのは
0.05%と2000人に一人の割合だけです。

現在では手術中に脊髄モニタリングという、
脊髄神経に麻痺が起きていないかを監視する機械が
使用されさらなる安全性を追求しています。

頻度的にはかなり稀なケースですが
上の調査結果に死亡ケースが2件あるので
側弯症の矯正手術はたしかに危険だとも言えます。

確率的には0.04%、つまり2500人に一人
死亡したケースが起こったことになりますが
現在の手術技術はかなり進歩し、出血や塞栓などに対する
予防策も万全を期していますので今では無に等しい確率だと思います。

今までの考察をまとめると側弯矯正手術による
合併症の危険度は今ではそれほど高くありません。
全体としての合併症のおこる確率は5.7%ですが
危険な合併症はほとんど起きていません。

また合併症のおこる確率やその危険性は
側弯症の湾曲の角度や位置、そして年齢によっても
違ってきます。

ですからむやみに手術を拒否せず、十分に専門医と相談して
あなたの側弯症の場合の合併症の確率や危険度を
しっかり理解してから、今後の人生にとってどちらが良いか
判断するようにしてください。


参考文献:Complications in Spinal Fusion for Adolescent
Idiopathic Scoliosis in the New Millennium. A Report of the
Scoliosis Research Society Morbidity and Mortality Committee
http://www.orthonurse.org/portals/0/fusion%20complications.pdf

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