側弯症はカルシウムを充分にとれば改善できるか?

よくある質問の一つに側弯症はカルシウムを充分とれば
予防できるのか?または改善できるのか?というのがあります。

カルシウムが骨にとってとても大切なものだということは周知の事実で、
背骨の変形でおきる側弯症もやはりカルシウム不足との関係を
考えるのは当たり前だと思います。

さて実際に側弯症の研究でカルシウムとの関係は実証されているのでしょうか?
カルシウム不足は側弯症を起こす可能性があるのでしょうか?


結論から言うと側弯症の発症にカルシウムの摂取量はとても
関係があると言えます。
カルシウムが側弯症の発生とどのように関係し、
側弯症にどのように影響するのかは
順を追って説明していきたいと思います。

側弯症とカルシウム不足の関係

体内でのカルシウムの役目

カルシウムは骨を造る主成分として重要な栄養素ですが、
同時にカルシウムは筋肉収縮の過程やそれを制御する神経にも
重要な働きをしています。
ですからカルシウムが不足すると背骨の軟化や骨粗鬆症を招き
背骨を支える筋肉の硬化や筋肉痙攣を起こしやすくしてしまいます。

カルシウムは血液中でも重要な働きをするので、
カルシウムが少なくなると骨を溶かしてカルシウムを取り出し、
血液中のカルシウム量がいつも一定になるよう制御されています。

骨粗鬆症は骨の中のカルシウムが少なくもろくなり、
骨折しやすくなる病気です。
また骨のカルシウム量の減少はO脚なども起こしてしまいます。

研究からみた側弯症とカルシウムの関係

それらの事実から背骨の成長期におこる側弯症も
カルシウム不足によって骨が軟化し、
それを支える筋肉の痙攣などの影響も合わさって
側弯症がおこるのでないかと考えられています。

実際には骨の軟化や筋肉の痙攣が側弯症をおこすという関係性は
研究でも実証されていませんが、多くの側弯症患者の背骨は
カルシウムの密度が低く、普通の人と比べて骨が柔らかいことが
発見されています。

1999年の英国の研究では33人の側弯症患者と33人の正常な子供を比較
側弯症の患者の間では骨の密度が低いだけでなく、
骨減少症をおこしている患者も多数存在し、
その骨減少症をも併発していた側弯症患者は他の側弯症患者に比べて
湾曲がひどく、装具も長期間使用していたという結果を発表しました。*1

2006年に香港で発表された側弯症の研究では
11~16歳の側弯症の女の子621人と正常な女の子300人を比較した結果
側弯症の女の子は平均的にカルシウムの摂取量がとても低く
側弯症の子供の骨の密度の低さに関係していることが判明しました。
結果として側弯症の女の子はカルシウムの摂取量が
成長期の骨の成長に不十分で、側弯症の発症に関与している可能性が
あると実証されたわけです。*2

ただしカルシウム不足が直接側弯症を起こすわけではないので
カルシウムを充分に摂取しても側弯症の発症を防げるとは言えません。

側弯症はカルシウムなどの栄養だけでなく、遺伝やホルモンなどの
さまざまな要因が重なって発症するものです。

ですからカルシウムを充分にとっていても他の要因などにより
側弯症になってしまうのは防げないわけです。

しかしそうは言ってもカルシウムは骨の成長や筋肉にとって
とても大切なものです。
カルシウムというのは体内で造り出すことはできないので
骨や筋肉が急激に成長する成長期は充分な量のカルシウムをとることが
大切です。

また調査によると骨粗鬆症の患者さんのうち約48%が
実は側弯症も併発しており、側弯症は骨粗鬆症を起こす要因の一つとして強い関わりがあるとわかっています。

ですから将来起きる可能性の高い骨粗鬆症の予防のためにも
カルシウムは充分摂取することがとても大切です。

側弯症とカルシウム不足

今日の参照研究
*1.Rev Rhum Engl Ed. 1999 Dec;66(12):705-10.
Bone mineral density at the femur and lumbar spine in a population of young women treated for scoliosis in adolescence.
Courtois I, Collet P, Mouilleseaux B, Alexandre C.

*2.Spine (Phila Pa 1976). 2006 Feb 1;31(3):330-8.
Generalized osteopenia in adolescent idiopathic scoliosis–association with abnormal pubertal growth, bone turnover, and calcium intake?
Cheung CS, Lee WT, Tse YK, Lee KM, Guo X, Qin L, Cheng JC.

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