ビタミンB6とマンガン欠乏症が側弯症をおこす?

側弯症がおこる原因としてカルシウムの不足など
骨を形成するときに必要になる栄養の不足も
原因の一つではないかと研究が進められています。

今回はビタミンB6、マンガン、そして銅という栄養素が
側弯症の発症に関係する可能性があるという結果を
出した研究を紹介したいと思います。

鶏と側弯症実は側弯症はヒトに限ったことではなく
直立歩行する鶏にもおこるそうです。
鶏は卵から2ヶ月程で大人に成長するので
研究に使いやすく、さまざまな研究に使われています。

ヒトの側弯症患者さんにわざと栄養不足をおこさせて
側弯症との関係を調べることはできませんので
こういう研究は鶏を用いて行うわけです。


1986年にアメリカのカリフォルニア大学で行われた研究1では
側弯症を発生した鶏の子供を集め、
その多数のひよこにそれぞれ違う栄養素に欠けた餌を与え、
その後20度以上の側弯症が発生するか研究をしました。

その結果全体としては40~50%の確率で側弯症が
発生したのですが、その側弯症を発症した鶏のうち
60~75%の鶏がビタミンB6,マンガン、そして銅の少ない餌を
食べていた鶏でした。

意外にもタンパク質やカルシウム、ビタミンA、パントテン酸などの
直接骨の成長に重要な栄養素が少ない餌による欠乏症は
側弯症の発生に関係しないことがわかり

逆にビタミンB6,マンガン、そして銅という骨のまわりの
結合組織を作るのに重要な栄養素の不足が側弯症に関係するらしい
ということがわかりました。

ただしこれらの結果は鶏の側弯症の場合で
ヒトの側弯症の調査では実際、どの栄養素欠乏症も直接的な原因として
結びつくものはなく、まだまだ研究の最中です。

しかし上に出てくるマンガン、銅などの栄養素は
体内に微量しか存在しないものですが、
多くの健康を維持するための新陳代謝にとっては
とても重要なはたらきをするので微量元素と呼ばれ
必須栄養素の一つとなっています。

ヒトの微量元素の量と側弯症の関係を調べた研究

髪の毛に含まれる微量元素の量は体内の微量元素の量に比例する
ことから、1980年に特発性側弯症患者74人と25人の正常なこどもの
髪の毛の微量元素量を比較した研究2が行われました。

銅と側弯症この研究の結果、特発性側弯症の子供の髪の毛には
普通の子供の髪の毛に比べ
およそ2倍近い量の銅が含まれていたことがわかりました。

髪の毛に含まれていた銅のレベルと側弯症の角度に
関係は見られませんでしたが、
微量元素である銅がなんらかの形で側弯症の発症に
関わっていることがこの研究で実証されました。

側弯症と遺伝の関係でも述べたように
ヒトの側弯症は遺伝の要因だけでなく、それに合わせて
栄養素欠乏症を含めた環境的要因が絡みあって発症するものと
考えられています。

微量元素である銅は亜鉛、鉄、マンガンといった他の重要な
微量元素やビタミンC、ビタミンB6などと競争関係にあり、
銅が多くなると他の元素が少なくなってしまうという
反比例の関係にあります。

つまり銅の多い特発性側弯症のこどもでは
亜鉛や鉄、マンガン、またはビタミンCなどが一般より少なく
それらの栄養素はすべて関節などをつくる結合組織の
形成にとても重要で必須なものなので
側弯症の形成にも関係していると思われます。

同時にこの研究の時に著者が観察して気づいたことは
特発性側弯症の子供には虫歯が多くみられ
また女子の場合月経の症状が重く学校を休みがちで
また全体的に好き嫌いの多い偏った食生活をしている
こどもが多かったということです。

これらの研究の結果から食生活というのは
側弯症の発症に深いかかわりがあり
健康的なバランスのとれた食生活をすることは
とても大切なことだと思います。

出典:
1. Greve C, Trachtenberg E, Opsahl W, Abbott U, Rucker R. Diet as an external factor in the expression of scoliosis in a line
of susceptible chickens. J Nutr 1986;117:189–93.

2.Elevated Hair Copper Levels in Idiopathic Scoliosis. Pratt, W., Phippen, W. Spine. 1980

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